検索からの流入は、前の年より確かに増えています。求人ページの表示回数も伸びました。それなのに、登録や応募の件数は横ばいのまま。月次の報告でアクセスのグラフを見せながら、どこか後ろめたい気持ちになってきます。人材紹介の会社でWebを見ていると、こういう時期にぶつかりませんか。記事を増やすか、広告を足すか。打ち手の相談をする前に、求人ページに並んでいる言葉をもう一度読んでみた会社があります。
人材紹介業のSEOでアクセスは増えても応募が集まらなかった状況
まずは、手を付ける前の様子から。どんな会社が、どこにお金と時間を使っていたのかが見えると、あとの判断の理由もつかみやすくなります。人材紹介の集客は、扱う職種が違っても似た形になりがちです。読みながら、自社の求人ページを思い浮かべてみてください。
この人材紹介会社は、設立から八年ほどになります。機械設計と電気設計の技術職を中心に、メーカーや設計事務所へ人を紹介する仕事です。従業員は十五名ほど。求職者と面談するキャリアアドバイザーが六名、求人を預かる法人担当が五名、残りが管理と事務、そしてWebを見る担当が一名という構成でした。
集客の柱は、自社サイトの求人ページです。預かった求人を一件ずつページにして公開し、検索から来た人に登録してもらいます。登録した人には面談の案内を送り、そこから紹介につなげていく流れでした。求人サイトへの掲載や広告も使っていましたが、こちらは費用が読みにくく、比率を上げきれずにいたそうです。
Webの担当者が前の年から取り組んでいたのは、ページを増やすことでした。預かった求人はできるだけ早く公開し、職種と地域を掛け合わせた一覧ページも用意していました。記事も月に数本出しています。その甲斐あって、検索からの流入は確かに伸びています。表示回数も、クリック数も、前の年を上回っていました。
求人ページの作り方も、最初に聞いておきました。法人担当が求人企業から求人票を受け取り、そのまま管理画面に貼り付けて公開します。写真もなく、文章を足す手順も決まっていません。公開までの速さを優先した結果、どのページも同じ形に落ち着いていました。
ところが、登録と応募の数はほとんど動きません。流入が増えた分だけ、登録に至る割合は下がっていきました。会議では「アクセスは増えています」と報告しながら、次に何を言えばよいのか分からなくなってしまいます。この居心地の悪さが、相談のきっかけになりました。
社内の受け止め方も、話をややこしくしていました。キャリアアドバイザーからは「Webから来る人は温度が低い」という声が出ます。法人担当からは「求人は預かっているのに動かない」と言われます。Webの担当者は一人で、間に立って説明を続けるしかありません。数字は伸びているのに、社内の誰も手応えを感じていない状態でした。
求職者からの登録が少ない月は、法人担当が預かった求人を紹介しきれません。紹介できなければ、求人企業との関係も薄くなっていきます。求職者を集めることと、求人を預かること。人材紹介の仕事はこの二つが回り続けて初めて成り立つので、片方が止まると全体が鈍るわけです。
求職者が集まらないのは、この会社だけの事情でもありません。人材紹介会社の団体が会員に聞いた2026年7月の調査でも、事業運営上の課題として「求職者の確保」を挙げた会社が81.8%あり、二番目の「求人獲得」を大きく引き離しています。求人は預かれても、紹介する相手が足りない。同じ形の詰まりが、業界の広い範囲で起きているわけです。
同じ悩みは、以前から社内でも話に出ていたそうです。ただ、原因の見立てが人によって違いました。求人の数が足りないという人もいれば、求人サイトの掲載を増やすべきだという人もいます。誰の見立ても間違ってはいませんが、確かめないまま動くと、外れたときに理由が分かりません。まずは事実を並べるところから始めることにしました。
費用の内訳も、相談の前に並べてもらいました。求人サイトへの掲載費、広告費、記事の制作費。このうち記事の制作費が増え続けていて、求人ページそのものに使っているお金はゼロに近い状態です。求人ページは法人担当が求人票を貼り付けて作るもの、という扱いになっていました。
応募が伸びない原因が求人ページの言葉にあると気づいた経緯
ページを増やす前に、どこで止まっているのかを確かめました。知られていないから応募が来ないのでしょうか。それとも、見たうえで選ばれていないのでしょうか。ここを取り違えると、直す場所を間違えます。
やったことは難しくありません。求人ページを求職者の立場で読み直すこと、そして流入の中身を職種と検索語の単位で見ること。この二つだけです。どちらも社内でできますし、外部の道具も特別なものは要りません。時間はかかりますが、原因の見当を付けるにはこれで十分でした。
順番としては、ページを読むほうを先にしました。数字から入ると、どうしても「どこを増やすか」の話になってしまいます。読んでから数字を見ると、気になった箇所の裏づけを探す形になるので、見つかるものが変わってきました。
読み直すときは、Webの担当者ひとりで進めないようにしました。求職者と毎日話しているキャリアアドバイザーに同席してもらい、ページを開いて気になるところで止めてもらう形です。普段からその言葉を聞いている人が読むと、どこで引っかかるのかがすぐに出てきます。この読み合わせに一時間ほどかけたことが、後の作業の方向を決めました。
求人票をそのまま載せていた求人ページの中身
求人ページを開いてまず目についたのは、見出しの言葉でした。「機械設計(CAD)」「電気制御設計」「開発補助」。どれも、法人担当が求人企業から受け取った求人票の項目名そのままです。社内では通じますし、法人担当にとっては正確な表現でもあります。
けれど、仕事を探している人がその言葉で検索するでしょうか。実際に使われていたのは、もっと素朴な言い方でした。
| 求人票に並んでいた言葉 | 求職者が検索で使っていた言葉 |
|---|---|
| 機械設計(CAD) | 設計 転職 / 三次元CAD 求人 |
| 電気制御設計 | 制御 設計 メーカー 転職 |
| 開発補助 | 未経験 設計 正社員 |
使っている道具の名前や、今の職場からどう変わりたいかを、そのまま言葉にして検索窓に入れています。
本文の中身も、求人票の写しでした。仕事内容の欄には「機械設計業務全般」とだけ書かれ、必要なスキルの欄には資格と経験年数が並びます。給与は幅で示され、勤務地は市の名前まで。求人票としては正しくても、これを読んで自分が働く姿を思い浮かべられる人は、そう多くないでしょう。
人材紹介の求人ページには、もう一つ事情があります。求人企業の社名を出せない案件が多いことです。社名を伏せる以上、読む人が判断できる材料は仕事の中身と働き方しかありません。それなのに、その二つがいちばん薄い状態になっていました。
求人ページに載せている情報の順番も、求職者の関心とは逆になっていました。いちばん上に会社概要と応募資格が置かれ、仕事の中身はその下。読む人が最初に知りたいのは、自分にできそうかどうかと、入った後に何をするのかです。順番を変えるだけでも伝わり方は変わるはずですが、求人票の並びをそのまま写していたので、誰もそこを疑っていませんでした。

登録ページも見ました。ボタンには「無料登録はこちら」とだけ書かれています。登録するとどうなるのか、面談はどんな形式なのか、どのくらいの時間がかかるのか。その説明がないまま、氏名と連絡先を入れる欄が並んでいました。押す前に知りたいことが、どこにも書かれていない状態です。
アクセスの中身を見て分かった読み手とのずれ
次に、流入の中身を見ていきました。増えていたのは、職種名と地域を掛け合わせた一覧ページへのアクセスです。一方で、個別の求人ページはほとんど読まれていません。一覧まで来て、そこで離れていく動きがはっきり出ていました。
検索語の側も見ます。表示回数が伸びていたのは、求人票の言葉をそのまま含む語でした。表示はされるものの、クリックされる割合は低いまま。検索結果に出た自社のタイトルを読んで、自分に関係がある求人だと思えなかったのでしょう。
登録に至った人の経路も追いました。数は少ないものの、登録している人は、職種名よりも働き方や条件の言葉から入ってきています。「設計 残業 少ない」「メーカー 転職 年収」のような言葉です。仕事の呼び名ではなく、自分の暮らしがどう変わるかを起点に探している人が、登録まで進んでいました。
ここまで見て、原因の見当が付きました。集めている人の数ではなく、迎える言葉のほうがずれていたのです。求人票の言葉で書かれたページは、求人企業には正確でも、求職者には届きません。ページを増やしても、同じ言葉で増やしているかぎり結果は変わらないわけです。
離脱の様子も見ておきました。一覧ページから個別の求人ページへ進む割合、求人ページを開いてから登録ページへ進む割合。この二つを並べると、どちらも低い水準で止まっています。しかも、求人ページを長く読んだ人ほど登録に進んでいました。読ませる力が足りていないのであって、人の数が足りないわけではないと分かります。
求人サイト経由の応募とも比べてみました。求人サイトから来る人は、条件を絞り込んだ状態で応募してくるので、面談まで進む割合が高く出ます。自社サイトから来る人は、まだ探し始めの段階にいることが多い。同じ「応募」でも中身が違うのだと分かると、自社サイトに求められる役割も見えてきました。
もう一つ、法人担当との関係も見直す必要がありました。求人ページの文面は法人担当が作るので、Webの担当者が勝手に書き換えると、求人企業への説明と食い違うおそれがあります。言葉を変えるなら、社内の役割の話から始めなければなりませんでした。
言葉を見直すために実際に取り組んだこと
原因の見当が付いたら、次は手を動かす番です。やることは三つに分かれました。
- 求職者が使っている言葉を集める
面談の記録やサーチコンソールから、実際に使われている言い方を拾い出す - 求人ページと登録ページの本文を書き換える
求人票の欄はそのままに、求職者に向けた説明を書き足す - 検索結果に出る一行に反映する
タイトルと説明文を、書き換えた中身に合わせてそろえる
進め方で気をつけたのは、全部を一度に変えないことでした。求人ページは常に増減しますし、Webの担当者は一人です。まず件数の多い職種から手を付け、効果を見ながら広げていく形にしています。
順番も決めました。言葉を集めてから本文を書き換え、最後に検索結果に出る一行を直す。逆から手を付けると、クリックだけ増えて中身が追いつかない状態になります。急がば回れの形ですが、この順番が結果的にいちばん早く効きました。
社内の合意も先に取りました。求人票の言葉を変えるのではなく、求職者に向けた説明を足す。条件や必須のスキルは求人票のとおりに保ち、書き足す部分だけをWeb側が担当します。この線引きを決めてから始めたので、法人担当からの反対はほとんど出ませんでした。
求職者が使っている検索語の洗い出し
最初にやったのは、言葉を集める作業です。ここを勘で決めてしまうと、書き換えても届きません。手間はかかりますが、後の判断が速くなります。
いちばん確かな材料は、面談の記録でした。キャリアアドバイザーが面談で聞いている「今の職場の何を変えたいか」という質問の答えが、そのまま検索語に近い形で残っています。残業を減らしたい、設計の上流に関わりたい、地元に戻りたい。この言葉を職種ごとに書き出していきました。
Google Search Console(サーチコンソール)も見ます。自社サイトがどんな言葉で表示され、どの語から人が来ているのか。表示回数は多いのにクリックされていない語が、そのまま「見せ方がずれている語」の一覧になります。ここは数字がそろっているので、優先順位を決めるのに向いていました。
登録フォームの自由記述も材料になりました。「今の仕事内容」「希望する働き方」を書いてもらう欄に、求職者自身の言葉が残っています。求人票にはない言い回しが並んでいて、読んでいるだけでページの見出しの候補が浮かんできます。
求人企業側の言葉も、比べるために集めました。法人担当が受け取る求人票にどんな言い方が並ぶのかを一覧にすると、求職者の言葉との距離がそのまま見えます。「開発補助」と書かれた求人は、求職者からは「未経験から設計に入れる仕事」と呼ばれていました。この対応表が、後の書き換えでそのまま使えました。
材料が出そろったら、集めた言葉と一緒に使われている語も見ておくと、書き足す内容の抜けに気づけます。共起語検索ツール v2 は、指定した語と同時に出てくる言葉を調べる道具で、形態素解析エンジンの MeCab を組み込んでいるため、品詞や活用型、原形や読みまで一覧で返ってきます。「設計」と一緒に出る語が動詞なのか名詞なのかまで分かるので、求人ページの見出しに使う言い方と、本文の説明に使う言い方を分けて考えるときの材料になります。
言葉集めの順番は、次のとおりです。
- STEP 01
面談の記録を読み返す
キャリアアドバイザーが聞いている「今の職場の何を変えたいか」の答えを、職種ごとに書き出します
- STEP 02
表示されている語を確かめる
サーチコンソールで、表示回数は多いのにクリックされていない語を洗い出します
- STEP 03
登録フォームの自由記述を拾う
求職者が自分の言葉で書いた仕事内容や希望を、そのまま候補にします
- STEP 04
求人票の言葉と突き合わせる
求人企業側の言い方と並べて、どこがずれているのかを一覧にします
集めた言葉は、三つの層に分けて整理しました。職種の呼び名で探す層、使っている道具や技術で探す層、働き方や条件で探す層です。同じ人でも、探し始めと応募の直前では使う言葉が変わります。どの層をどのページで受け止めるのかを決めておくと、書き換えの迷いが減りました。
集めた言葉には、使わないと決めたものもあります。年齢や性別を思わせる言い方、「稼げる」「将来安泰」のように受け取り方が人によって変わる言い方。検索する人がいたとしても、書けば誤解を生みますし、後から説明に困ります。使う言葉と使わない言葉を先に分けておくと、書き換えの途中で迷わずに済みました。
迷ったのは、検索する人の多い一般的な言葉に寄せるかどうかでした。「転職」「求人」といった語は数こそ多いものの、大手の求人サイトと同じ土俵に立つことになります。悩んだ末に、技術や働き方の言葉を軸にする方針にしました。数は少なくても、面談まで進む人が多い層だと分かっていたからです。
求人ページとランディングページの言葉の書き換え
言葉が集まったら、ページの本文を書き換えていきます。手を入れたのは、求人ページと、登録を受け付けるランディングページの二つです。ここがいちばん時間のかかった作業でした。
求人ページでは、仕事内容の欄を書き足しました。「機械設計業務全般」の下に、どんな製品のどの部分を設計するのか、使う道具は何か、社内の何人の体制で進めるのか。求人票には書かれていない部分を、法人担当が求人企業から聞き取って埋めていきます。聞き取りの項目はあらかじめ一枚にまとめ、求人を預かるときに一緒に聞く形にしました。
社名を出せない案件では、書ける範囲の輪郭を示すようにしています。業界と規模、設立からの年数、扱っている製品の分野。読む人が「どんな会社か」を想像できる材料を並べておくと、社名が伏せてあっても判断の手がかりになります。
働き方の情報も足しました。残業の目安、出社と在宅の割合、転勤の有無。求職者が面談で必ず確かめる項目を、ページの段階で答えてしまう考え方です。ここを隠すと、面談まで来てから条件の話で止まってしまいます。早めに伝えるほど、あとの行き違いが減りました。もっとも、労働時間や賃金といった労働条件は、伝えたほうがよいかどうかという話の前に、紹介の段階で示すことが決められている部分でもあります。
登録ページのほうは、押す前に知りたいことを書き足しました。登録したあと誰から連絡が来るのか、面談はオンラインでもできるのか、どのくらいの時間がかかるのか。求人を今すぐ探していない人でも相談できると分かるように、その旨も書いています。ボタンの文言も「無料登録はこちら」から、次に何が起きるのかが分かる言い方に変えました。

書き換えでは、条件と必須スキルの欄には手を触れていません。ここは求人票のとおりに保つと決めた部分です。募集する側と紹介する側には、求人の情報について虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしないことが職業安定法の第五条の四で求められていますし、職業紹介事業者には、提供する情報を正確かつ最新の内容に保つための措置を講じることも求められています。
読みやすく整えることと、内容を変えてしまうことは別の話です。この条は、e-Gov法令検索では次のように表示されます。

面談でよく聞かれる質問も、ページの中に取り込みました。未経験から設計に移れるのか、資格は必要か、入った後の教育はどうなっているのか。キャリアアドバイザーが同じ説明を毎回している質問は、ページに書いておけば面談の時間を別のことに使えます。求職者にとっても、聞きにくいことを先に知れる形になりました。
書き足した場所を整理すると、こう分かれます。
| 直した場所 | 足した内容 | 狙い |
|---|---|---|
| 求人ページの仕事内容 | 扱う製品、使う道具、進める体制 | 働く姿を思い浮かべられるようにする |
| 社名を出せない案件 | 業界、規模、設立年数、製品の分野 | 社名が伏せてあっても判断できるようにする |
| 求人ページの働き方 | 残業の目安、出社と在宅の割合、転勤の有無 | 面談でよく聞かれる項目を先に答える |
| 登録ページ | 連絡する人、面談の形式、かかる時間 | 押す前の不安を減らす |
原稿はキャリアアドバイザーにも読んでもらいました。実際に求職者と話している人が読むと、「この言い方は誤解される」「ここは面談で必ず聞かれる」と、細かい指摘が次々に出てきます。そのやり取りを二往復ほど繰り返して、ようやく公開できる形になりました。
検索結果に表示されるタイトルと見出しへの反映
本文を直したら、検索結果に出る一行にも反映します。ここを放っておくと、せっかく書き換えた中身が読まれないまま終わってしまいます。
以前の求人ページのタイトルは「求人詳細|社名」の形でした。これでは、検索結果に並んだときに何の求人なのか分かりません。職種、勤務地、そして働き方の特徴という順に並べ直し、その求人を探している人が自分のことだと分かる形にそろえました。
見出しも同じ考え方で整えます。ページの中の見出しが「仕事内容」「応募資格」だけだと、読み飛ばす人に何も伝わりません。「一日の流れ」「この求人で身につくこと」「未経験からの転職で多い質問」のように、読む人の関心の言葉で置き換えていきました。
求人ページの数が増えると、見出しの付け方が担当ごとに揺れてきます。このプラグインは投稿の見出しを階層で表示して、H2 の次に H4 が来るような飛びや、長すぎる見出し、同じ記事の中の似た見出しを見つけてくれます。公開済みの記事との類似を見るカニバリチェックも付いているので、職種と勤務地の組み合わせでページが増える人材紹介のサイトでは、似たページ同士のぶつかりに早く気づけます。
見出しを直すときに気をつけたのは、求人票の項目名を消してしまわないことでした。応募資格や勤務条件の欄は、求職者が最後に確かめる場所です。読む人の関心の言葉で見出しを足しつつ、条件の欄はそのまま残す。足すのであって、置き換えるのではないという線引きを、ここでも守りました。

一覧ページのタイトルにも手を入れています。職種と地域を掛け合わせただけの機械的な文言をやめ、そのページでどんな求人が見られるのかが分かる言い方に変えました。一覧から個別の求人ページへ進む割合は、ここを直した後に上がっています。
タイトルの付け方は、あらかじめ型を決めておきました。職種、勤務地、特徴の順に並べ、字数は検索結果で切れない範囲に収めます。型があれば、求人を公開するたびに考え込まずに済みますし、担当が替わっても書き方が揺れません。人手の限られた会社ほど、この決めごとが効いてきます。
直す順番は、表示回数の多いページからにしました。同じ手間をかけるなら、見られている場所から直すほうが変化が早く出ます。表示はされているのにクリックされていないページの一覧が、そのまま作業の順番表になりました。
説明文も書き直しました。検索結果に出る短い説明が、どのページも会社概要の使い回しになっていたからです。ページごとに、そこで読めることを短く書いていきます。手間はかかりますが、件数の多い職種から順に進めれば、思ったより早く一巡しました。
説明文の書き直しは、件数が増えるほど手が止まります。このプラグインは、投稿や固定ページ、カスタム投稿タイプの本文からメタディスクリプションを生成するもので、文字数を80〜500字の範囲で指定でき、複数の記事をまとめて生成することもできます。下書きとして出してから人が直す前提で使うと、ゼロから書くより速く、しかもページごとに中身の違う説明文にできます。
言葉を見直した後の応募数の変化
ここから先の数値は、複数の支援をもとに再構成したモデルケースの一例で、実在する会社の実績ではありません。求人の動きは季節で変わるため、前の年の同じ時期と比べる形で見ています。
見た数字は、検索からの流入、求人ページから登録まで進んだ割合、登録した人のうち面談まで進んだ割合。この三つを毎月同じ形で記録しました。求人サイトへの掲載や広告は止めていません。止めてしまうと、何が効いたのか分からなくなりますから。
比べ方も先に決めておきました。書き換えたページと、まだ手を付けていないページを分けて見る形です。全部を平均で見ると、直したページの動きが薄まって見えなくなります。ページ単位で並べると、書き換えた順に数字が動いていくのが分かりました。
数字だけでなく、社内の受け止め方も毎月聞くようにしています。登録の数が同じでも、面談に来る人の顔ぶれが変わっていれば、それは変化です。数えられるものと、数えられないもの。両方を並べて見ていくと、次に手を入れる場所が見えてきました。
検索からの流入と応募数の変化
最初に動いたのは、クリックされる割合でした。表示回数はほとんど変わらないのに、クリックされる回数が増えています。タイトルと説明文を直したページから順に、その動きが出ました。公開して二週間ほどで見え始めた変化です。
登録の数は、そこから少し遅れて動きました。求人ページから登録まで進む割合が上がり、登録の件数は取り組み前のおよそ二倍になります。流入の総数はほとんど増えていないので、同じ人数を迎えて、より多くの人に登録してもらえるようになった形でした。
流入の中身も変わっています。以前は職種名の語ばかりだったのが、技術や働き方の言葉から入ってくる人が増えました。一覧ページで止まらず、個別の求人ページまで読み進める人も増えています。作ったときに考えた道筋を、読む人がなぞってくれていると確かめられたのは、続けるうえでの支えになりました。
登録した人の質も変わりました。以前は、登録だけして連絡が取れない人が一定の割合でいたのですが、その割合が下がっています。何をする会社で、登録すると何が始まるのかを読んだうえで登録しているからでしょう。数だけでなく中身が変わったことは、キャリアアドバイザーのほうが先に気づいていました。
職種による差も出ました。技術の名前がはっきりしている求人ほど、書き換えの効果が早く表れています。逆に、仕事の呼び名が会社ごとに違う職種では、言葉を決めるところに時間がかかりました。どの職種から手を付けるかで、見える速さが変わるわけです。
時間のかかり方も書いておきます。書き換えた分から順に動くので、全体の数字が動くまでには三か月ほどかかりました。この期間は、直したページと直していないページが混ざっていて、平均で見ると変化が見えません。ページ単位で比べる見方に切り替えてから、ようやく手応えが伝わるようになりました。
面談まで進む割合と求人企業からの反応の変化
数字より社内が喜んだのは、面談の中身が変わったことでした。「Webから来る人は温度が低い」という声が、いつのまにか出なくなっています。
面談での質問も変わりました。以前は残業や勤務地といった条件の確認から始まっていたのが、それはページを読んで分かった状態で来てくれます。代わりに増えたのが、どんな製品に関わるのか、入った後にどんな技術が身につくのかという、仕事の中身についての質問でした。同じ面談の時間でも、話す中身がひとつ先へ進みます。
登録から面談まで進む割合も上がりました。登録した人に連絡を取ったときの反応が変わったのだと、キャリアアドバイザーは言います。何の会社から連絡が来るのか、面談で何を話すのかを知ったうえで登録しているので、最初のやり取りが短くて済むわけです。
求人企業の側にも変化がありました。法人担当が求人を預かるときの聞き取りが増えたぶん、紹介する人の精度が上がります。「今回の紹介は要件に合っている」という反応が増え、求人を追加で預かる話につながることもありました。Webの書き換えが、法人側の営業にまで届いた形です。
社内の会話も変わりました。以前は「アクセスは増えています」で終わっていた月次の報告が、「この職種のページを直したら、登録がこう動きました」という話になります。Webの担当者にとっては、自分の仕事が紹介の実績につながっていることを説明できるようになったのが大きかったようです。ひとりで抱えていた仕事が、社内の共通の話題になりました。
一方で、すべてがうまくいったわけではありません。条件の面で折り合わない応募は、以前と同じ割合で残りました。言葉を整えても、給与や勤務地そのものが変わるわけではないからです。ここは別の手当てが要る部分だと分かっただけでも、次の判断がしやすくなりました。
求人ページを直す作業は、地味で終わりが見えにくいものです。担当が一人なら、なおさらでしょう。それでも、直したページから順に数字が動くので、手応えは毎月返ってきます。全部を直し終えてから評価するのではなく、動いた分を月次の報告に載せていく。この進め方が、社内で続ける後押しになりました。
応募増加の決め手になった気づき
振り返ると、効いたのはページを増やしたことでも、新しい道具を入れたことでもありません。誰の言葉でページを書くのかを決めて、その決めごとを社内で共有したこと。この二つがそろって、初めて数字が動きました。
求人票の言葉は、求人企業に向けた正確な記録です。求職者に向けた説明とは役割が違います。この違いを社内で言葉にできたことが、いちばん大きかったのかもしれません。役割が分かれていれば、法人担当も「勝手に書き換えられた」とは感じずに済みます。
書き足す場所と担当を決めたことも効いています。求人票の欄は法人担当が今までどおり扱い、その下の説明はWebの担当者が書く。どちらが何に責任を持つのかがはっきりしたので、書き換えのたびに確認を取り直す必要がなくなりました。社内で止まらない形を先に作れたかどうかが、続いたかどうかの分かれ目だったように思います。
面談の記録を材料にしたことも、想像以上に効きました。Webの担当者だけで言葉を考えると、どうしても検索の道具から出てきた語に寄っていきます。キャリアアドバイザーが毎日聞いている言葉には、道具では拾えない手触りがありました。読む人にとっては、そこが判断の材料になったのでしょう。
登録の手前で先に答えたことも、効き方が分かりやすい部分でした。誰から連絡が来るのか、面談で何を話すのか。押す前の不安を減らしただけで、同じ人数が同じページを見ても、次の一歩を踏む人が増えます。求人の中身を厚くする作業に比べると小さな手当てですが、効果が出るまでの時間はいちばん短いところでした。
順番にも意味がありました。本文を書き換えてからタイトルと説明文を直したので、クリックして来た人が期待どおりの中身に出会えたのです。逆の順番で進めていたら、クリックは増えても、読んですぐ離れる人が増えていたかもしれません。
人手が一人しかいないことも、結果としては味方になりました。全部を一度に直せないので、件数の多い職種から順に手を付けるしかありません。その制約が、効果を確かめながら進める形を自然に作りました。人数が多ければ一斉に直せた代わりに、何が効いたのか分からなくなっていたかもしれません。
求人企業への説明が変わらなかったことも、見落とせません。求人票の欄をそのまま残したので、法人担当は今までどおりの資料で商談を進められます。Web側の書き換えが営業の手間を増やさない形だったからこそ、反対が出ずに続いたのでしょう。社内の誰かの仕事を増やす改善は、たいてい途中で止まります。
効かなかったこともあります。職種名だけを狙って一覧ページを増やす作業は、表示回数こそ伸びるものの、登録には結びつきませんでした。記事の本数を増やす作業も、求人ページとつながっていない記事では違いが出ません。記事が効いたのは、面談でよく聞かれる質問に答える内容にして、関係する求人ページへ進める道を作ったときでした。
読み手を一人に決めたことも、振り返ると大きな判断でした。求人ページは、求人企業にも求職者にも読まれます。両方に向けて書こうとすると、どちらつかずの文章になりがちです。条件の欄は求人企業との約束として正確に保ち、それ以外の場所は求職者に向けて書く。この切り分けができてから、書く内容に迷わなくなりました。
最後に、この取り組みは一度で終わりではありません。求人は入れ替わりますし、条件も変わります。職業紹介事業者には、提供する情報を正確かつ最新の内容に保つための措置を講じることが求められている以上、公開した後の手入れまでが仕事です。担当と頻度を決めておくところまでを、この取り組みの一部として扱いました。
まとめ
この人材紹介会社は、ページを増やす方向ではなく、求人ページと登録ページに並ぶ言葉を求職者のものに入れ替えることで、同じ流入から登録につながる割合を引き上げました。
取り組みの中心は、面談の記録とサーチコンソールから求職者の言葉を集めたこと、求人票の欄には手を触れずに求職者向けの説明を書き足したこと、そして検索結果に出るタイトルと説明文を中身に合わせたことです。
成果が見えるまでには三か月ほどかかり、その間は全体の平均では変化が見えませんでした。ページ単位で比べる見方と、書き換えた順に効果が出ることを先に伝えておくこと。この二つが、続けるうえで効いています。自社に置き換えるなら、まずは求人ページの見出しが求人票の写しになっていないか、そして登録ボタンの手前に「このあと何が起きるか」が書いてあるかどうかから確かめてみてください。









