インプラントや審美歯科の相談を増やしたいのに、治療前と治療後の写真を並べた症例ページは作れません。歯科医院でホームページを任されていると、この二つのあいだで手が止まることがあるのではないでしょうか。写真が無いなら、何を載せれば相談につながるのか。答えが見えないまま、診療ページは何年も同じ形で残っていきます。
保険診療を中心に、インプラントや審美歯科、矯正といった自費の治療も行っている歯科医院のWEB担当者が手を入れたのは、症例写真の代わりになる派手な見せ方ではありませんでした。医療広告の決まりの中で書けることを先に洗い出し、そのうえで診療ページと料金ページを、相談に来る前の患者が知りたい順に組み直しています。写真に頼れないからこそ、言葉と順番で伝えるしかありません。
取り組む前の歯科医院のホームページと相談の予約の状況
手を入れる前のこの歯科医院の様子から見ていきます。最初にWEB担当者がしたのは、ページを直すことではなく、相談の予約がどこから、どんな形で入っているのかを受付で確かめることでした。ホームページの役割は、予約の入り方と切り離しては決められないからです。
あらかじめ、この記事での言葉の使い方をそろえておきます。「相談の予約」は、自費の治療について話を聞くための来院の予約のことです。保険診療の初診の予約とは分けて数えています。また「診療ページ」は、インプラントや審美歯科のように治療ごとに内容を説明しているページ、「料金ページ」は自費の治療の費用をまとめたページのことです。
当時のホームページは、トップページに医院の写真と院長のあいさつ、診療時間と地図が並ぶ作りでした。診療ページは治療ごとに一枚ずつあり、どのページも治療の名前と短い説明、それに医院の設備の写真で構成されています。料金ページには、自費の治療の名前と金額が一覧になっていました。

予約の入り方を調べると、保険診療の予約は電話とウェブの予約システムの両方から順調に入っていました。一方で、自費の相談の予約は月に数えるほどで、その多くは通院中の患者が治療の途中で院長に話を聞くという形です。ホームページを見て、初めて相談に来る人はほとんどいませんでした。
院長はこの状況を以前から気にしていました。インプラントや審美の治療は、時間をかけて説明すれば納得して選んでもらえるはずです。けれども、その説明の入口がホームページにありません。検索で医院を見つけた人が、相談の予約まで進まずに離れてしまっているのではないか。そう考えて、ホームページの見直しをWEB担当者に任せたのです。
ここで一つ、最初に確かめておいたことがあります。症例写真を新しく用意する予定は無い、という前提です。治療前と治療後の写真を載せること自体は、広告できる事項の限定を外す条件を満たしたうえで、治療の内容や費用、主なリスクなどの詳しい説明を添えれば認められています。ただ、この医院には掲載の同意を得た写真がほとんどなく、説明を添える手間と、患者を誤認させないための確認の重さを考えて、写真に頼らない形で進めると院長と決めました。この前提があったからこそ、何を言葉で伝えるかを突き詰めることになります。
症例写真に頼れない中で相談の予約が伸びなかった理由
相談の予約が伸びないのは、写真が無いせいなのか。WEB担当者は、その思い込みから離れるために、次の材料を並べました。
- Google Search Console で診療ページが表示されている検索語
- 受付で相談の予約を受けたときに患者が口にしていたことの記録
- 院長が相談の場でよく聞かれる質問
順番にも理由がありました。検索語を先に見たのは、ページがそもそも見つけてもらえているのかを確かめるためです。見つけてもらえていないなら、中身の話の前に置き場所の話になります。調べてみると、診療ページは地域名と治療名を組み合わせた検索でそれなりに表示されていました。見つけてはもらえていたのです。それなのに、相談の予約には進んでいませんでした。
そこで、受付の記録と院長の話を突き合わせました。相談に来た患者が最初に聞くことは、驚くほどそろっていました。治療が終わるまでに何回通うのか、全部でいくらかかるのか。どちらも、診療ページを読めば分かるはずのことです。ページに書かれていない、あるいは書かれていても読み取れない形になっていたことが、原因として見えてきました。
診療ページから治療の流れが読み取れなかったこと
診療ページには、治療の名前と、その治療がどういうものかの短い説明が書かれていました。インプラントなら、歯を失った部分に人工の歯根を入れる治療である、という説明です。それ自体は間違っていません。けれども、相談を考えている人が知りたいのは、その治療を受けると自分の生活がどうなるのか、です。
初めて相談に来てから治療が終わるまでに、どんな段階を踏むのか。検査は何回あるのか。治療の途中で仕事を休む必要はあるのか。仮の歯が入るまでの期間はどう過ごすのか。こうしたことが、当時の診療ページからは読み取れませんでした。院長は相談の場でこれを毎回口で説明していたので、ページに書く必要を感じていなかったのです。
流れが見えないと、読む人は不安になります。何回通うか分からない治療を、相談の予約という形で一歩進めるのは、思ったより重い決断です。結果として、ページを読んだ人の多くが、もう少し調べてからにしようと離れていきます。流れを知るための相談なのに、流れが分からないから相談に進めない、という行き違いが起きていました。
自費診療の費用が「〜円から」としか書かれていなかったこと
料金ページには、自費の治療ごとに金額が載っていました。ただ、その多くが「〜円から」という書き方でした。最も安い場合の金額だけを示し、実際にどこまでかかるのかは書かれていません。検査や仮の歯、かぶせ物の種類によって費用が変わることも、ページからは分かりませんでした。
医療広告等ガイドラインでは、自由診療について情報を出すときに、治療等の名称や最低限の内容・費用だけを紹介して患者を誤認させるべきではないとしています。通常必要とされる治療内容と標準的な費用、治療期間と回数を示すこと、標準的な費用がはっきりしない場合は、よく発生する追加の費用も含めて最低金額から最高金額までの範囲を示すことが求められています。「〜円から」だけの表示は、この考え方から見ても足りない書き方でした。
受付の記録にも、その影響は表れていました。相談に来た患者が、ページで見た金額と実際の見積もりの差に驚くことがあったのです。最初の金額だけを見て相談に来た人ほど、見積もりの段階で迷い、治療に進まないこともありました。費用の書き方が、相談の予約の数だけでなく、相談のあとの納得にも影を落としていたのです。
医療広告の決まりの中で書けることを洗い出した手順
原因が見えたところで、すぐに診療ページを書き換えたくなります。けれども、歯科医院のホームページは、書きたいことを自由に書ける場所ではありません。WEB担当者は、書き換えに入る前に、医療広告の決まりの中で何を書けて、何を書けないのかを先に洗い出しました。書いてから決まりに合わないと分かると、ページを丸ごと作り直すことになるからです。
洗い出しは、次の順番で進めました。
- STEP 01
広告に当たるかの確認
医院のホームページが医療広告として扱われるのかを確かめる
- STEP 02
限定解除の条件の確認
広告できる事項の限定を外すための条件を満たせるかを確かめる
- STEP 03
使えない言い回しの洗い出し
どこに載せても使えない言い回しを、診療ページから拾い出す
- STEP 04
院長との確認
拾い出した結果を、院長と一緒に一項目ずつ確かめる
原典に当たったのは、医療法の第6条の5と医療法施行規則、それに厚生労働省の医療広告等ガイドラインです。
この順番にしたのは、前の段階の答えで、後の段階でやることが変わるからです。広告に当たらないなら、決まりの多くは関係ありません。広告に当たり、限定を外す条件も満たせないなら、書ける事項はぐっと狭くなります。上から順に確かめていくことで、迷う場面が少なくなりました。
ホームページが広告とみなされる範囲と限定解除の条件
医療法の第6条の5は、医業や歯科医業、病院や診療所について、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示をする場合の決まりを定めています。医療広告等ガイドラインは、広告に当たるかどうかを、患者の受診などを誘引する意図があるか、医療機関の名称などが特定できるかの二つで判断するとしています。医院が自分で運営し、医院の名前を出して診療内容を案内するホームページは、この二つを満たします。この医院のホームページも、医療広告として扱われるものとして進めました。
医療広告では、法令や告示で広告できるとされた事項しか、原則として広告できません。ただし、医療法施行規則の第1条の9の2が定める要件をすべて満たした場合は、その限定を外して、ほかの事項も載せられます。要件は次の四つです。
- ウェブサイトなどであること
患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどであること - 問い合わせ先の明示
問い合わせ先を記載するなどして、患者が容易に照会できるようにすること - 治療の内容と費用
自由診療について、通常必要とされる治療の内容や費用などの情報を提供すること - 主なリスクと副作用
自由診療について、主なリスクや副作用などの情報を提供すること
後の二つは、自由診療について情報を出す場合に限って求められます。
インプラントや審美の治療を詳しく説明したいこの医院では、四つの要件をすべて満たす形で診療ページを作ることが前提になりました。限定を外しても、虚偽や誇大な広告、他の医院と比べて優れていると示す広告をしてはならない決まりはそのまま残ります。治療の内容や効果に関する患者の体験談を医院のホームページに載せることも、施行規則で禁じられた広告に当たります。限定を外せば何でも書けるわけではない、という点は最初に院長と確かめておきました。
リスティング広告で使えない言い回しを診療ページからも外す確認
この医院は、地域名と治療名で検索した人に向けて、検索結果に表示される広告、いわゆるリスティング広告も出していました。医療広告等ガイドラインでは、検索サイトでスポンサーとして表示される広告や、費用を払って検索結果の上位に表示させるものは、限定を外すための要件のうち、患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどであるという要件を満たさないとしています。つまり、検索結果の広告には、広告できる事項しか載せられません。
WEB担当者は、この違いを確かめたうえで、広告の文面と診療ページの文面を並べて読み比べました。すると、広告の文面では使っていない言い回しが、診療ページには残っていることに気づきます。地域で一番の設備、痛みのない治療、といった言葉です。比べて優れていると示す言葉や、誰にでも当てはまるとは言えない効果をうたう言葉は、限定を外したウェブサイトでも使えません。広告に書けない言葉の多くは、診療ページにも書けない言葉だったのです。
費用の見せ方も同じ確認の対象にしました。ガイドラインは、期間限定の割引やキャンペーンのように費用を強調した広告を、品位を損ねる広告の例として挙げています。料金ページにあった、今だけ割引という見出しはここで外しました。言い回しを一つずつ確かめていくと、削る言葉の多さに驚きますよね。けれども、削ったあとの空白は、次の節で書く治療の流れと費用の説明で埋まっていきました。
初診相談から治療後までの流れを追える診療ページへの組み直し
書けることと書けないことが分かったので、いよいよ診療ページを組み直します。WEB担当者が最初に決めたのは、ページの順番を医院の説明したい順ではなく、患者が経験する順にすることでした。治療の仕組みの説明から始めるのではなく、初めて相談に来た日から治療が終わったあとまでを、時間の流れに沿って並べる形です。
この形を選んだのには、もう一つ理由があります。限定を外す要件の一つとして、自由診療については、通常必要とされる治療の内容や、治療期間と回数を示すことがガイドラインで求められています。流れに沿って書けば、この要件を満たす情報が自然にページにそろいます。決まりを守るための記述と、患者が知りたい記述が、同じ場所に重なったのです。
組み直しは、インプラントの診療ページから始めました。相談の場で院長が説明している内容を、受付の記録と照らしながら段階ごとに書き出し、そのうえで審美歯科や矯正のページに同じ形を当てはめています。一つのページで形を固めてから広げたので、ページごとに書き方がばらつくこともありませんでした。
通院回数と期間の目安を幅で示す書き方
流れを書くうえで一番迷ったのは、通院の回数と期間をどう示すかでした。インプラントは、骨の状態や本数によって、通う回数も期間も大きく変わります。一つの数字で言い切れば、多くの患者にとって事実と違う説明になってしまいます。かといって、人によって違いますとだけ書けば、何も書いていないのと同じです。
そこで、目安を幅で示すことにしました。検査と相談、手術、骨とのなじみを待つ期間、かぶせ物を入れるまで、という段階ごとに、通う回数と期間を、少ない場合と多い場合の幅で書いています。あわせて、幅のどちら側に寄りやすいのはどんな場合かを一言添えました。骨を増やす処置が必要な場合は期間が延びる、といった書き方です。

幅で示したことで、読む人は自分の場合を当てはめやすくなりました。正確な見通しは検査のあとでしか分かりません。それでも、おおよその見当がつけば、相談の予約という一歩を踏み出しやすくなります。院長も、相談の場で説明する内容とページの内容がそろったことで、説明に食い違いが出る心配が減ったと感じていたようです。
各段階で患者がすることと医院がすることの書き分け
段階ごとの説明には、もう一つ工夫を加えました。患者がすることと、医院がすることを分けて書くことです。たとえば検査の段階なら、患者は来院して質問票に答え、レントゲンなどの検査を受けます。医院は、検査の結果をもとに治療計画と見積もりを用意します。そういう書き分けです。
WordPress で診療ページを作っているなら、Kashiwazaki SEO Step Flow で、初診の相談から治療後の手入れまでを「STEP 01 → STEP 02」の形で見せられます。ブロックにステップ名と説明を入れるだけで組めるので、段階ごとに患者がすることと医院がすることを書き分けた説明を、そのまま並べられます。表示しているステップから HowTo の構造化データも自動で出力されるため、読む人にも検索エンジンにも、治療が何段階で進むのかが伝わります。
当時の診療ページは、医院がすることだけを書いていました。精密な検査を行います、計画を立てます、という書き方です。これでは、読む人は自分が何をすればよいのかが分かりません。患者の側に立った書き方に変えると、仕事を休む必要がある日や、家族に付き添いを頼みたい日が、ページを読むだけで見当がつくようになります。
医院がすることを書くときは、言い切りすぎないことにも気を配りました。治療の結果は人によって異なるので、効果を約束するような書き方は避け、医院が行う手順と確認する内容を淡々と書いています。決まりを守るための配慮でしたが、結果として読む人の信頼にもつながりました。何をしてもらえるのかが具体的に分かるほうが、大げさな言葉よりも安心できるからです。
自費診療の費用を総額と内訳で見せる料金ページの整え方
診療ページの流れが整ったところで、次は料金ページです。ここで手を入れなければ、流れを読んで相談に進もうとした人が、費用の段階でまた迷うことになります。WEB担当者は、料金ページを、最初に払う金額を見せる場所から、治療が終わるまでにかかる金額の見当をつける場所へと作り変えることにしました。
進める前に決めたのは、費用の表と、リスクや副作用の説明を、別々のページに分けないことです。ガイドラインは、限定を外すための情報の載せ方について、リンクを張った先のページに載せたり、利点の説明と比べて極端に小さな文字で載せたりする形を採らないよう求めています。費用だけを目立たせ、リスクは別のページへ、という作りはこの考え方に合いません。費用とリスクを同じページに並べることを、最初の決まりにしました。
順番としては、まず料金表に入れる項目を決め、次にリスクと副作用の載せ方を決めています。項目が決まれば、それぞれの項目に対応するリスクも書きやすくなるからです。やってみて分かったのは、費用の内訳を細かくするほど、相談の場で説明する手間が減るということでした。
審美歯科やインプラントの料金表に入れた項目
料金表は、治療の名前と一つの金額を並べる形をやめ、治療ごとに内訳を並べる形にしました。インプラントの場合は、次のように段階ごとに費用を分けています。
| 料金表の項目 | 書いた内容 |
|---|---|
| 検査と診断 | 治療計画を立てるための検査と診断の費用 |
| 手術 | 人工の歯根を入れる手術の費用 |
| 仮の歯 | 骨となじむのを待つあいだに使う仮の歯の費用 |
| かぶせ物 | 最後に入れるかぶせ物の費用 |
そのうえで、すべてを合わせた総額の目安を、いちばん上に置きました。
総額の目安は、一つの金額ではなく幅で示しています。前の章で触れた、ガイドラインが求める最低金額から最高金額までの範囲の示し方に沿った形です。骨を増やす処置が必要な場合や、かぶせ物の素材を変える場合のように、よく発生する追加の費用は、内訳の中に条件と一緒に書き添えました。どの場合に幅の上のほうになるのかが、読めば分かる形です。
あわせて、自由診療であることと、治療を終えたあとの定期的な手入れにも費用がかかることを、表のすぐ下に書いています。審美歯科のページも同じ考え方で整えました。素材ごとの費用の違いと、本数が増えたときの考え方を並べています。最初の金額だけを見せる表から、自分の場合の総額を見積もれる表へと変わったことで、ページの役割そのものが変わりました。
リスクと副作用を費用と同じページに載せる構成
リスクと副作用の説明は、料金表のすぐ下、同じページの中に置きました。小さな注意書きにはせず、費用の表と同じ大きさの文字で、見出しを付けて書いています。手術のあとに腫れや痛みが出ることがある、治療後も定期的な手入れが欠かせない、といった、治療を選ぶ前に知っておいてほしいことです。
書くときに気をつけたのは、リスクを並べるだけで終わらせないことでした。それぞれのリスクについて、医院がどう備えているのか、患者が何に気をつければよいのかを、短く添えています。たとえば、治療後の手入れについては、定期的に通う間隔の目安と、その費用が料金表のどこに書いてあるかを示しました。リスクの説明が、費用の説明と行き来できる形です。
院長は当初、リスクを目立たせると相談が減るのではないかと心配していました。けれども、相談の場で必ず説明していることを、先にページで読んでもらうだけです。相談に来る人が、リスクも費用も知ったうえで来るようになれば、相談の時間はもっと中身のある話に使えます。この見通しを共有できたことで、院長も構成に納得しました。
検索から相談の予約までをつなぐ歯科医院のSEO対策
診療ページと料金ページの中身が整ったので、最後に、検索で探している人がこれらのページにたどり着き、相談の予約まで進む道筋を整えます。ここでいうSEO対策は、検索順位を上げるための小手先の工夫ではありません。探している人が使う言葉でページを見つけてもらい、読んだあとに迷わず次の一歩を踏み出せるようにすることです。
進める前に、Search Console の検索語をもう一度見直しました。相談につながりそうな検索は、地域名と治療名を組み合わせたものが中心です。一方で、治療名だけ、あるいは費用や期間を知りたいという検索も一定数ありました。探している人の段階によって、知りたいことが違います。その違いに合わせて、ページの分け方と、ページからの案内の仕方を考えました。
地域名で探す人の前には、近くのいくつもの歯科医院が並びます。厚生労働省の医療施設調査によると、2025年10月1日現在の全国の歯科診療所は65,624施設です。ここ数年は少しずつ減っていますが、それでも6万5千を超える数があります。
これだけの数の中から選ばれるには、ページを開いた人に、この医院で何をしてもらえるのかが具体的に伝わる必要があります。
順番としては、まずページの分け方を決め、次にページから相談の予約へ進む導線を見直しています。どのページに誰が着くのかが決まらないと、そのページに置く案内も決められないからです。
「地域名+治療名」で探す人に合わせた診療ページの分け方
当時の診療ページは、インプラント、審美歯科、矯正といった大きな区切りで一枚ずつでした。一枚の中に、治療の種類や素材の違いまで詰め込まれていたので、どの検索で着いた人にも、知りたいことがページの下のほうに埋もれていました。
WEB担当者は、治療ごとのページを、相談を考える人が選ぶ単位で分け直しました。たとえば審美歯科なら、かぶせ物の素材ごとの違いと費用を一つのページにまとめ、歯を白くする治療は別のページにしています。ページの題名と冒頭には、医院のある地域の名前と治療の名前を入れ、地域名と治療名で探す人に、何のページかがすぐ伝わるようにしました。
WordPress で運営しているなら、Kashiwazaki SEO Perfect Breadcrumbs で、URL の構造からパンくずリストを組み立てられます。治療ごとのページを分け直して、審美歯科の下に素材ごとのページを置くような階層にしたとき、投稿の親子関係ではなく URL の並びに沿ったパンくずが出るので、読む人はいまどの治療のどのページにいるのかが分かります。分けたページどうしを行き来する入口にもなります。
気をつけたのは、地域名だけを入れ替えた似たページを量産しないことです。近くの駅や町ごとにページを作れば、検索に引っかかる言葉は増えるかもしれません。けれども、中身が同じページが並ぶだけでは、読む人の役に立ちません。この医院では、ページを分ける基準を、地域ではなく治療の中身に置きました。地域名は、どのページでも医院の所在地として自然に書く形にとどめています。
診療ページから相談の予約へ進む導線の見直し
ページを読み終えた人が、次に何をすればよいのか。当時の診療ページには、ページの下に電話番号と予約システムへのリンクが小さく置かれているだけでした。保険診療の予約と自費の相談の予約が同じ入口で、相談を予約したい人は、どこから申し込めばよいのか迷っていました。
そこで、診療ページの最後に、相談の予約の案内を独立させて置きました。案内に書いたのは、次の三つです。
- 相談では何をするのか
- どのくらいの時間がかかるのか
- 相談の段階で費用がかかるのか
それぞれを短く書いたうえで、相談専用の予約の入口へ案内しています。料金ページにも同じ案内を置き、費用を確かめた人がそのまま相談に進めるようにしました。
問い合わせ先をはっきり示すことは、限定を外すための要件の一つでもあります。電話番号とメールでの問い合わせ先を、診療ページと料金ページのどちらにも置きました。予約の入口を分けたことで、受付でも、相談の予約と保険診療の予約を分けて数えられるようになり、変化を追うための記録も取りやすくなりました。
相談の予約に表れた変化
ページを整えてから、何が変わったのか。ここでは、相談の予約の数と、相談に来る患者の質問の中身という二つの面から見ていきます。変化はすぐには出ませんでした。書き換えた直後の数か月は、相談の予約の数にほとんど違いが見えず、本当にこれでよかったのかと迷いが出やすい時期です。
変化を見るときに決めていたのは、相談の予約の数だけで判断しないことでした。相談の予約は季節や地域の事情でも増減します。それよりも、相談に来た人がページをどこまで読んできたのか、相談の場で何を聞いたのかを、受付と院長の記録から確かめることにしました。数が同じでも、中身が変わっていれば、ページが役割を果たし始めた合図になるからです。
なお、この先に出てくる数値は、モデルケースとしての一例です。医院の立地や診療の内容、もともとのホームページの状態によって、変化の大きさや時期は変わります。自院と比べるときは、増え方の向きと、どこが先に動いたかを参考にしてください。
相談の予約数の推移の一例
先に動いたのは、診療ページと料金ページの読まれ方でした。検索から診療ページに着いた人が、料金ページへ進む割合が増え、料金ページから相談の予約の入口へ進む人も目に見えて増えています。流れと費用を読んだ人が、その先へ進むようになったのです。
相談の予約の数は、それから少し遅れて動きました。一例として、整える前と後を比べると次のようになります。
| 項目(一例) | 整える前 | 整えた後 |
|---|---|---|
| ホームページ経由の相談の予約 | 月に数件 | 半年ほどたったころに月に十件前後 |
| 相談に来る人の多く | 流れと費用を知らずに来る | 流れと費用の見当をつけたうえで来る |
通院中の患者からの相談とは別に数えた数字です。予約の入口を分けたことで、どこから来た相談なのかを数えられるようになったことも、変化を確かめるうえで役に立ちました。
もっとも、相談の予約がそのまますべて治療につながったわけではありません。相談の結果、治療を見送る人もいます。それでも、ホームページから初めて相談に来る人がほとんどいなかった状態から、相談の入口として機能するようになったことは、この医院にとって大きな変化でした。
相談に来る患者の質問の変化
数よりも大きかったのは、相談の中身の変化です。以前の相談は、何回通うのか、全部でいくらかかるのか、という基本的な質問から始まるのが普通でした。院長は、その説明に相談の時間の多くを使っていました。
ページを整えたあとは、相談に来る人の多くが、流れと費用の見当をつけたうえで来るようになりました。質問は、自分の場合は骨を増やす処置が必要になりそうか、仕事の都合でこの時期に手術を受けられるか、といった、自分の事情に合わせた具体的なものに変わっています。院長は、相談の時間を、その人の状態に合わせた説明に使えるようになったと感じていたそうです。
費用についての驚きも減りました。見積もりの段階で、ページで見た幅のどのあたりになるかを確かめる、という受け止め方をする人が増えたのです。最初の金額だけを見て来ていたころに比べて、見積もりを見て迷う人が少なくなり、相談から治療に進む流れも落ち着いてきました。
症例写真がなくても相談の予約につながった要
ここからは、私の立場からこのモデルケースを振り返ります。症例写真が無くても相談の予約につながった理由をひと言で言えば、写真で見せられない部分を、流れと費用という、相談に来る前の患者がいちばん知りたい情報で埋めたことでした。
症例写真は、治療の結果を見せるものです。けれども、相談を考えている人が最初に知りたいのは、結果よりも手前のことでした。何回通い、どれくらいの期間がかかり、全部でいくらかかるのか。そして、どんなリスクがあるのか。結果の写真が無くても、そこまでの道のりが具体的に見えれば、相談の予約という一歩は踏み出せます。

写真の枠を埋めようとするのではなく、写真では伝えきれない情報でページを組み立てる、という考え方です。
医療広告の決まりを先に確かめたことも、要になったと考えています。決まりを守るための確認は、手間のかかる作業に見えるかもしれません。けれども、限定を外すための要件は、自由診療について治療の内容と費用、期間と回数、主なリスクを分かりやすく示すことを求めています。それは、相談を考えている人が知りたいことと、ほとんど同じでした。決まりを守ることが、そのまま読む人の役に立つページを作ることにつながったのです。
費用を幅と内訳で見せたことも大きかったと思います。最初の金額だけを見せれば、ページを見に来る人は増えるかもしれません。けれども、その人たちは見積もりの段階で迷い、医院への信頼を損ねかねません。最初から総額の見当がつくようにしたことで、相談に来る人の納得が深まりました。
決まりの確認とページの書き直しを、院長と一緒に進めたことも見逃せません。WEB担当者が一人で文面を整えていたら、相談の場で院長が話す内容と、ページに書かれた内容が少しずつずれていったはずです。院長がふだん口で説明していることを段階ごとに書き出し、決まりに照らして一緒に確かめたことで、ページと相談の場の説明が一つにそろいました。ページを読んで来た人が、相談の場で同じ話を聞いて安心できるという一貫性が、相談から治療へ進む流れを支えていたように見えます。
最後に、言葉を削る勇気についても触れておきます。診療ページから、比べて優れていると示す言葉や、効果を約束する言葉を外したとき、ページは一時的に物足りなく見えました。けれども、その空白に流れと費用とリスクを書き込んだことで、ページはむしろ具体的になりました。症例写真が使えないことを嘆くより、写真の無いページだからこそ書ける説明を探すという発想の切り替えが、この取り組みの出発点だったのだと思います。
まとめ
症例写真を使わずに自費の相談の予約を増やしたい歯科医院が手を入れたのは、診療ページと料金ページの中身と順番でした。治療の流れが読み取れない診療ページと、最初の金額しか分からない料金ページが、相談を考える人を迷わせていました。
直し方は、医療広告の決まりの中で書けることを先に洗い出すことから始まりました。そのうえで、診療ページを初診の相談から治療後までの流れに沿って組み直し、通院の回数と期間を幅で示しています。料金ページは総額と内訳で見せ、リスクと副作用を同じページに並べました。最後に、地域名と治療名で探す人に合わせてページを分け、相談の予約の入口を独立させています。
あなたの医院の診療ページは、相談に来る前の患者が知りたい順に書かれているでしょうか。まずは一つの治療について、何回通い、全部でいくらかかるのかが、ページだけで分かるかを確かめてみてください。









