「エアコンを買い替えるので、古いほうを引き取ってほしい」。そう考えた人は、会社名ではなく「エアコン 処分」「冷蔵庫 引き取り 料金」のように、品目の名前で検索します。ところが、リサイクル会社のサイトが「不用品回収」「家電買取」といった自社の言葉だけでできていると、その検索にはうまく引っかかりません。電話は鳴るものの、Webからの問い合わせはほとんど増えません。そんな状態で手詰まりを感じている方に向けた話です。
取り組む前のリサイクル会社のサイトと問い合わせの状況
この記事でいうリサイクル会社は、家庭から出る家電や家具を引き取り、使えるものは買い取って再販売し、使えないものは適正に処理へ回す会社のことです。工場や企業から出る産業廃棄物を扱う処理業者とは、相手も必要な許可も違います。
このリサイクル会社は、地方都市で店舗を1つ構え、トラックで家庭を回る社員二十名ほどの会社です。中古品を買い取るための古物商の許可と、所在地の市の一般廃棄物収集運搬業の許可を持ち、出張での引き取りはその市の中に限って受けています。Webの担当は、店舗の業務と兼務の一名だけでした。
この節では、サイトの作りと問い合わせの集め方を、取り組む前の姿として整理します。先にこの二つを見たのは、どちらも「会社が伝えたいこと」を起点に組まれていて、利用者が探す順番と逆になっていたからです。振り返ると、問題の芽はほとんどここにありました。
取扱品目を1ページにまとめて並べていたサイト構成
サイトは、トップページ、会社概要、取扱品目、お問い合わせの四つのページでできていました。取扱品目のページには、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビ、電子レンジ、タンス、ベッド、自転車と、引き取れる品目の名前と写真が一枚の中に並んでいます。
見た目には、何でも引き取れる会社だと伝わります。けれど、どの品目にも「お気軽にご相談ください」の一文が添えてあるだけで、料金も、引き取りの流れも、買い取れるのかどうかも書かれていません。品目ごとに答えが違うはずの内容が、すべて電話の向こうに置かれていたのです。ページのタイトルと見出しも「取扱品目」という会社の側の言葉のままで、どの品目の名前も、見出しには一度も出てきませんでした。

検索エンジンから見ると、このページは「何でも少しずつ載っているページ」です。エアコンの処分を調べている人に向けて、エアコンのことを詳しく書いたページは、サイトの中に一枚もありません。品目名で検索しても見つからないのは、ある意味で当然でした。
電話と一括見積もりサイトに頼っていた問い合わせの集め方
問い合わせの多くは、電話と、複数の業者にまとめて見積もりを依頼できる一括見積もりサイトから来ていました。電話は、店舗の看板やチラシを見た近所の人が中心です。一括見積もりサイトは件数こそ出るものの、同じ依頼が何社にも同時に届くため、価格の競争になりやすい入口でした。依頼を受けた時点で他社にも同じ内容が届いているので、返事の速さと金額で勝負が決まってしまいます。
自社サイトのお問い合わせフォームは、名前、電話番号、内容を書く欄があるだけの汎用のものです。何を、いくつ、どの方法で引き取ってほしいのかは、結局すべて電話で聞き直すことになっていました。
担当者は、一括見積もりサイトへの依存を減らしたいと考えていました。手数料がかかるうえ、他社との比較の中で値下げを求められることが多かったからです。ただ、自社サイトに人を呼ぶ手立てが分かりませんでした。ここで手が止まっているリサイクル会社は、少なくないのではないでしょうか。
品目名で探す人がリサイクル会社への問い合わせに至らなかった理由
担当者はまず、なぜ自社サイトから問い合わせが来ないのかを、利用者の側から確かめることにしました。見た順に並べると、次の三つです。
- STEP 01
検索で使われている言葉
Google Search Consoleで、サイトがどんな検索語で表示されているかを確かめました。すぐに数字で見られるので、最初に取りかかった項目です
- STEP 02
利用者がサイトに求めている情報
電話で受けた質問を思い出しながら、利用者が何を知りたがっているかを書き出しました
- STEP 03
問い合わせをためらわせている気持ち
情報を載せるだけでは解けない不安として、最後に残ったものです
Google Search Consoleは、自社サイトが検索結果にどう表示されているかを無料で確かめられるGoogleの道具です。
三つを並べてみると、どれも「品目ごとに答えが違う」という一点につながっていました。品目名で探し、その品目の料金と流れを知りたがり、その品目を任せてよい会社かを見極めようとしているのです。問い合わせが来ないのは、その一連の流れにサイトがまったく応えていなかったからでした。
エアコンや冷蔵庫など品目名での検索とサイト側の言葉のずれ
Google Search Consoleで表示回数の多い検索語を見ると、会社名での検索を除けば、表示されていたのは「不用品回収 市名」のような広い言葉ばかりでした。しかも順位は低く、クリックはほとんどありません。一方で、表示回数はわずかでも「エアコン 取り外し 処分」のように、作業まで含めた具体的な検索語がいくつも並んでいます。そうした語に答えるページが無いため、検索結果の奥のほうに、取扱品目のページがかろうじて出ているだけでした。
電話で受ける相談のほうは、「エアコンを外して持っていってほしい」「冷蔵庫はいくらかかるのか」といった、品目名から始まる話がほとんどです。電話の相談を聞く限り、利用者は「不用品」という言葉で自分の困りごとを考えていません。手元にあるのは、特定のエアコンであり、特定の冷蔵庫です。
サイトの言葉は、会社の事業の説明でした。利用者の言葉は、目の前の品目の困りごとです。この二つがずれている限り、検索結果で出会うことはありません。担当者が最初に気づいたのは、このずれでした。
品目ごとのリサイクル料金や引き取り方法が分からない不安
品目名で検索する人が次に知りたいのは、いくらかかるのか、どうやって出せばよいのか、です。特にエアコン、テレビ、冷蔵庫と冷凍庫、洗濯機と衣類乾燥機は、家電リサイクル法の対象になっていて、処分するときにはリサイクル料金がかかります。
この4品目は、手放される数そのものが多い品目です。環境省の公表では、令和6年度に全国の指定引取場所で引き取られた4品目は約1,458万台。エアコンが約396万台と最も多く、品目名で処分の方法を調べる人がそれだけいることがうかがえます。
家電リサイクル法の正式な名前は、特定家庭用機器再商品化法。対象の品目は政令で決まっていて、リサイクル料金はメーカーなどの製造業者等があらかじめ公表することになっています。これとは別に、家から運び出して引き渡すまでの収集運搬の料金もかかります。料金が二本立てになっていることを知らないと、見積もりの金額を見て驚くことになりかねません。
このリサイクル会社のサイトには、その二つの料金のどちらも書かれていませんでした。料金が分からない会社に、わざわざフォームから連絡する人は多くありません。比べやすい一括見積もりサイトに流れていくのは、自然なことでした。
訪問買取やしつこい電話を警戒する利用者の心理
料金の次に立ちはだかっていたのが、警戒心です。家に人を呼ぶ引き取りや買取では、知らない業者を家に上げることになります。問い合わせをしたら何度も電話がかかってくるのではないか、呼んだら断りにくいのではないか、と身構える人がいても不思議ではありません。
環境省も、家庭の廃棄物を無許可の回収業者に任せないよう呼びかけています。家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可や委託が必要で、古物商の許可や産業廃棄物処理業の許可だけでは回収できない、という案内です。

利用者の側から見ると、どの会社が許可を持っているのかを見分けるのは簡単ではありません。
このリサイクル会社は、必要な許可を持ち、依頼があった家にだけ伺う運用をしていました。けれど、サイトのどこにもそのことは書かれていませんでした。持っている安心の材料を、利用者に見せていなかったのです。
担当者が最初に手を付けた検索語と問い合わせ記録の棚卸し
どこから手を付けるか。担当者が選んだのは、検索語を調べる道具ではなく、手元の問い合わせ記録でした。検索語の候補は、道具を使えばいくらでも出てきます。けれど、その中のどれが自社の仕事につながるのかは、実際に受けた相談を見ないと分かりません。
進める前に、決めたことが一つあります。品目別ページは、いきなり全品目を作らないこと。相談の多い品目から順に作り、手応えを見ながら増やしていく、という方針です。一名の担当が店舗の業務と掛け持ちで進める以上、最初から数十ページを抱えれば、どれも中途半端になるのは目に見えていました。
棚卸しを終えてみると、相談の大半は、ごく少ない品目に集まっていました。そして同じ品目でも、引き取り方によって利用者の質問がまるで違うのです。この二つが分かったことで、何から作るか、ページに何を書くかが一気に決まっていきました。
過去の問い合わせから品目と引き取り方法の組み合わせを洗い出す進め方
担当者は、過去一年分の電話の受付メモと、一括見積もりサイトから届いた依頼を一件ずつ見直しました。書き出したのは、品目と、引き取りの方法の組み合わせです。店舗への持ち込みなのか、家まで取りに来てほしいのか。家の中からの運び出しが要るのか、エアコンのように取り外しの作業から頼まれているのか。
並べてみると、組み合わせごとにはっきりした特徴がありました。
| 品目 | 多かった頼まれ方 | 毎回確かめていたこと |
|---|---|---|
| エアコン | 取り外しまで含めた出張 | 取り外しの作業が要るか |
| 冷蔵庫と洗濯機 | 引っ越しや買い替えの時期に、二つまとめて | まとめて運び出せるか |
| タンスやベッドなどの家具 | 家からの運び出し | 分解してから運び出す必要があるか |
記録の中には、許可のある市の外からの出張の依頼や、この会社では扱っていない品目の相談も残っていました。断るしかなかった相談も、裏を返せば、ページで先に伝えておくべきことの一覧です。
そのうえで、Google Search Consoleと、検索語の候補を調べる道具で、品目名と一緒に検索されている言葉を確かめました。「取り外し」「引き取り」「料金」「処分」といった語が、相談の中身とそのまま重なります。問い合わせ記録と検索語が同じ方向を向いていると分かり、担当者はようやく作るページに確信を持てました。
品目名と一緒に調べられている言葉は、検索窓に出る候補だけでは拾いきれません。このツールは、検索結果の画面に並ぶ関連する質問や関連キーワードを集めてくれるので、「エアコン 処分」で調べた人が次に何を知りたくなるのか、つまり品目別ページのどの欄を厚くすべきかを、問い合わせ記録と見比べながら確かめられます。取り外しの費用や引き取りの日程のように、ページの見出しの候補がそのまま見つかることもあります。
買取できる品目とリサイクル料金がかかる品目の線引き
次に決めたのが、どの品目を買い取り、どの品目で料金をいただくのかの線引きです。ここがあいまいなままページを作ると、利用者は「売れるのか、お金がかかるのか」という一番知りたいことが分からないまま、読み終えてしまいます。
家電リサイクル法の対象になる四つの品目は、処分するときにリサイクル料金がかかります。ただし、製造からの年数が浅く、きちんと動くものは、中古品として買い取れる場合があります。このリサイクル会社は、品目ごとに製造からの年数と状態の目安を社内で決め、家電リサイクル法の対象ではない家具や自転車も含めて、次のように分けました。
| 品目のまとまり | 買取にするもの | 料金をいただいて引き取るもの |
|---|---|---|
| 家電リサイクル法の4品目 | 社内の目安(製造からの年数と状態)を満たすもの | 目安を満たさないもの(リサイクル料金と運搬料) |
| 家具や自転車など | 状態がよく、店舗で売れる見込みのあるもの | それ以外のもの(市の許可を受けた収集運搬として運搬料) |
線引きを文章にしてみると、担当者自身も、これまで電話口でその場の判断に頼っていたことに気づいたといいます。社内の基準をはっきりさせること。それが、ページに書ける情報をつくる最初の作業でした。
リサイクル会社の品目別ページに載せた情報
線引きが決まったところで、品目別ページの中身づくりに入りました。最初に作ったのは、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、家具の五つのページです。問い合わせ記録で相談の多かった品目から選んでいます。
進める前に、全ページに共通する骨組みを決めました。順番は、電話で受ける質問の順番に合わせています。利用者はまず「いくらかかるのか」を聞き、次に「どうすればいいのか」を聞き、最後に「この会社に頼んで大丈夫か」を確かめようとするからです。
- STEP 01
料金
リサイクル料金と運搬料を分けて示し、総額の計算の形を見せる
- STEP 02
引き取りの流れ
持ち込みと出張引き取りを書き分ける
- STEP 03
リユースとリサイクルの違い
買取になる場合と料金がかかる場合の理由を、利用者の言葉で説明する
- STEP 04
会社の所在と許可
この会社に頼んで大丈夫かに答える材料をまとめる
骨組みを先に決めておいたことで、品目を増やすときも迷わずに済みます。中身は品目ごとに書き分け、並び順だけをそろえます。読む人にとっては、どの品目のページを開いても、欲しい答えが同じ場所にあることになります。
品目ごとのリサイクル料金と運搬料の示し方
料金の欄で最初に悩んだのは、リサイクル料金の扱いでした。リサイクル料金は、メーカーなどの製造業者等が品目ごとに決めて公表しているもので、メーカーによって、またテレビと冷蔵庫・冷凍庫では大きさの区分によって、金額が違います。自社のページに全部を写すのは現実的ではありませんし、写した金額が改定で古くなるおそれもあります。
そこで、リサイクル料金はメーカーが公表している料金で決まることを説明したうえで、手元の家電のどこを見ればメーカーと型番が分かるかを、写真付きで示すことにしました。本体に貼られた銘板のラベルを見れば、自分で確かめられるからです。

一方、自社で決めている収集運搬の料金、いわゆる運搬料は、品目ごとに金額で載せました。エアコンなら取り外しの作業費が別にかかること、階段での運び出しが必要な場合の扱いなど、金額が変わる条件も書き添えています。利用者が知りたいのは、最終的にいくらになるのかです。リサイクル料金と運搬料の二つを足すと総額になる、という計算の形を見せたことで、電話で一から説明する手間も減っていきました。買取になった場合は、買取の金額から運搬料を差し引いて精算できることも書きました。売れるかどうかで支払いの形が変わることを、先に知っておいてもらうためです。
持ち込みと出張引き取りの流れの書き分け
引き取りの方法は、店舗への持ち込みと、家まで伺う出張引き取りの二通りです。以前のサイトでは、この二つが区別されずに「お引き取りします」とだけ書かれていました。
持ち込みの説明には、店舗の受付時間、車を停められる場所、持ってくるときに必要なもの、その場で状態を確かめて買取か料金かが決まることを書きました。自分で運べる人にとっては、料金を抑えられる選択肢です。そのことも隠さずに伝えています。
出張引き取りは、申し込みから当日までの流れを順に書きました。
- フォームか電話で申し込みを受ける
- 日程を決める電話を一度だけかける
- 当日、運び出しや取り外しの作業をする
- その場で精算する
出張で伺えるのは、一般廃棄物収集運搬業の許可を受けている市の中だけであることも、はっきり書きました。範囲の外から問い合わせをもらっても、お互いに手間が増えるだけだからです。
持ち込みと出張を分けて書いたことで、利用者は自分に合う方を選んでから連絡できるようになりました。問い合わせの時点で方法が決まっていると、その後のやり取りも短く済みます。
リユースとリサイクルの違いを利用者の言葉で伝える説明
品目別ページには、リユースとリサイクルの違いを説明する段落も入れました。この違いが分かると、なぜ同じ冷蔵庫でも買い取られる場合と料金がかかる場合があるのかが、腑に落ちるからです。
言葉の意味は、循環型社会形成推進基本法で決められています。リユースにあたる「再使用」は、製品をそのまま、あるいは修理して使うことや、部品として使うこと。リサイクルにあたる「再生利用」は、原材料として利用することです。ただ、ページに条文の言い回しをそのまま載せても、読む人には伝わりにくいでしょう。
そこで、リユースは「次の人がそのまま使えるように整えて、もう一度売ること」、リサイクルは「使えなくなったものをばらして、素材として生かすこと」と言い直しました。リユースできるものは買取の対象になり、リサイクルに回すものは料金がかかります。この一文を添えるだけで、見積もりの金額に対する納得感がまるで違ってきます。
会社の所在や許可を示して訪問への不安を和らげる情報
最後に載せたのが、この会社に頼んで大丈夫かという問いへの答えです。以前は会社概要のページに所在地が一行あるだけでしたが、品目別ページのそれぞれに、会社の情報をまとめた欄を置きました。
載せたのは、次の情報です。
- 店舗の所在地と外観の写真
- 固定電話の番号
- 古物商の許可番号
- 市の一般廃棄物収集運搬業の許可を受けていること
先に触れた環境省の案内のとおり、古物商の許可だけでは家庭の廃棄物は回収できません。二つの許可をそろえて示すことが、無許可の業者と見分けてもらう手がかりになります。
あわせて、依頼をいただいた家にだけ伺うこと、日程を決める電話のほかに営業の電話はかけないことも、この欄に書きました。当日伺うスタッフの顔写真と名前も載せています。家に来る人の顔が先に分かるだけで、玄関を開けるときの身構え方はずいぶん違うでしょう。どれも、この会社がもともと守っていた運用です。言葉にして見せただけでも、利用者が問い合わせる前に抱える不安には、はっきり効いていきました。
品目別ページから問い合わせまでの導線の見直し
品目別ページで答えを載せても、そこから問い合わせるまでの道が以前のままでは、せっかく来た人が途中で離れてしまいます。担当者がページの公開と並行して手を入れたのは、問い合わせのフォームと、ページどうしのつながりでした。
順番として先にフォームを直したのは、品目別ページを読み終えた人が次に押すのが、問い合わせのボタンだからです。汎用のフォームに飛ばされて、品目も方法も一から書かされるのでは、ページで積み上げた「分かりやすさ」がそこで途切れてしまいます。ページの構成は、その後でサイト全体を見渡して整えました。
進める前に決めたのは、利用者に書いてもらう項目を、見積もりに本当に要るものだけに絞ることです。電話で聞き直していた質問を並べ、どれがあれば概算を返せるのかを店舗の担当と確かめました。そこから、フォームにも構成にも、「読んだ人が迷わず次へ進める」という同じ物差しが通るようになりました。
品目を選んだ状態から始まる見積もりフォーム
新しいフォームは、品目別ページのボタンから開くと、その品目がすでに選ばれた状態で始まります。エアコンのページから来た人には、エアコンの見積もりフォームが開く、という形です。
続く項目は、次のとおりです。
- 引き取りの方法(持ち込みか出張か)
- 台数
- 住所の郵便番号
- 希望の日にち
持ち込みを選んだ人には店舗の受付時間が、出張を選んだ人には伺える地域の案内が、その場で表示されます。郵便番号が許可のある市の外なら、出張ではなく持ち込みか、ほかの方法を案内する文が出るようにしました。
メーカーと型番、製造年は、分かれば書いてもらう任意の項目にしています。代わりに、本体の銘板の写真を送れる欄を置きました。自分で読み取るより、写真を撮るほうがずっと楽だからです。連絡の方法も、電話かメールかを選べるようにしました。電話が苦手な人、仕事中で出られない人にとって、この選択肢があるだけで問い合わせの気持ちがぐっと軽くなります。送信ボタンの手前には、入力した内容の確認と、日程の連絡のほかに営業の電話はかけないことを、もう一度短く書いています。最後のひと押しで迷う人の背中を押すための一文です。
送信した人には、入力した品目と方法に合わせた運搬料の目安と、この後の流れを書いた自動の返信が届きます。何が起きるのかが分かるので、次の連絡を待つ間の不安も小さくなるはずです。
品目別ページどうしをつなぐ内部リンクとディレクトリ構成
ページの構成は、以前の取扱品目のページを入口に作り直しました。取扱品目のページのURLはそのまま残し、中身を品目の目次に変えて、その下の階層(ディレクトリ)に品目別ページを置く形です。URLを変えずに済んだので、これまでそのページに付いていた検索の評価も、外から貼られていたリンクも、そのまま生かせました。
目次のページでは、品目を三つのまとまりに分けています。家電リサイクル法の対象になる四つの品目、それ以外の家電、そして家具などです。どのまとまりに入るかで、料金のかかり方が変わるからです。利用者は自分の品目がどこにあるかを見るだけで、おおよその見当が付きます。

品目別ページどうしは、一緒に頼まれやすい組み合わせでつなぎました。冷蔵庫のページからは洗濯機のページへ、洗濯機のページからは冷蔵庫のページへ。引っ越しや買い替えで二つまとめて手放す人が多いと、問い合わせ記録で分かっていたからです。どのページからも、料金の考え方と会社の情報の欄へは同じ言葉のリンクでたどれるようにして、目次のページへ戻る道も必ず置いています。ページの上部にはパンくずリストも置きました。パンくずリストは、目次から品目のページまで、いまどこにいるかを一行で示す道案内のことです。利用者だけでなく、検索エンジンにもサイトの階層が伝わりやすくなります。
品目の目次のページは、品目を足すたびに手で書き直していると、どこかでリンクの付け忘れが起きます。サイトを WordPress で作っているなら、このプラグインが使えます。ナビゲーションメニューの階層をそのまま HTML のサイトマップとして書き出すので、「家電リサイクル法の4品目」「それ以外の家電」「家具など」のまとまりをメニューで作っておけば、目次のページも同じ階層で並びます。ディレクトリツリーの見せ方も選べるので、どのまとまりにどの品目があるかが一目で分かります。
品目別ページの公開後にリサイクル会社で起きた変化
ここからは、品目別ページを公開したあとの変化を見ていきます。繰り返しになりますが、この記事はモデルケースで、以下の数値は、同じような取り組みをしたときの動きを示す一例です。
変化を見る指標は、公開の前に決めておきました。品目名を含む検索語での表示回数とクリック数、自社サイトのフォームからの問い合わせの件数、一括見積もりサイト経由の依頼が全体に占める割合、そして問い合わせの中身です。件数だけでなく中身まで見ることにしたのは、電話での聞き直しや当日のキャンセルが減るかどうかも、この取り組みの狙いだったからです。
公開してすぐに数字が動いたわけではありません。最初の二か月ほどは、品目名での表示が少しずつ増えるだけで、問い合わせにはほとんど変化がありませんでした。担当者が「このまま続けて意味があるのか」と迷ったのも、この時期です。動きが目に見えてきたのは、エアコンのページが季節の変わり目に表示を伸ばし始めた三か月目あたりからでした。
品目名を含む検索からの流入の変化
Google Search Consoleで品目名を含む検索語を見ると、公開前にはクリックがほとんど無かった「エアコン 処分」「冷蔵庫 引き取り」といった語で、少しずつ表示とクリックが出るようになりました。半年後には、品目名を含む検索語からのクリック数が、公開前のおよそ十倍になっています。
伸び方は品目によって違いました。いちばん早く動いたのはエアコンのページです。取り外しの作業費と運搬料を分けて書いたことで、「エアコン 取り外し 処分 料金」のように条件を足した検索にも表示されるようになりました。冷蔵庫と洗濯機のページは、引っ越しの時期に合わせて伸び、家具のページは、分解の要否を書いた段落が検索語と重なって、じわじわと表示を増やしています。品目の目次のページも、「不用品 引き取り 市名」のような広い検索語で表示が伸び、そこから各品目のページへ進む人が増えました。一方で、テレビのページは表示が伸び悩みました。問い合わせ記録でも相談の少ない品目で、検索語との重なりも薄かったからです。担当者は、次の見直しで中身を足すか、ほかの家電のページにまとめるかを決める候補にしています。
会社名での検索も、少し増えました。品目別ページで会社を知った人が、いったん離れたあとに会社名で探し直していると考えられます。品目名で出会い、会社名で戻ってくる、そんな流れが見えたことは、担当者にとって大きな手応えになりました。
問い合わせの件数と内容の変化
自社サイトのフォームからの問い合わせは、半年後には公開前のおよそ三倍になりました。
| 指標(一例) | 公開から半年後の変化 |
|---|---|
| 品目名を含む検索語からのクリック数 | 公開前のおよそ十倍 |
| 自社サイトのフォームからの問い合わせ | 公開前のおよそ三倍 |
| 一括見積もりサイト経由の依頼が全体に占める割合 | 公開前の半分ほど |
一括見積もりサイト経由の割合が下がったことで、手数料の負担が軽くなっただけでなく、価格の比べ合いから入らない相談が増えたことを、店舗の担当者は喜んでいました。
変わったのは件数だけではありません。フォームから届く相談には、品目、方法、台数がはじめからそろっていて、銘板の写真が付いていることも珍しくなくなりました。電話で一から聞き直す手間が減り、概算の返事を当日中に返せる件数が増えています。電話の問い合わせも無くなったわけではありません。品目別ページを読んでからかけてくる人が増え、料金の前提を共有したところから話を始められるようになりました。
料金をめぐる行き違いも減りました。リサイクル料金と運搬料を足した総額の形を先に見ているので、当日に「思っていた金額と違う」と言われて作業が止まることが少なくなったのです。許可のある市の外からの出張の依頼も、フォームで案内が出るようになってからは、ほとんど来なくなりました。
品目別ページで問い合わせが増えるまでに要となったこと
振り返ると、このリサイクル会社で効いたのは、ページの数を増やしたことそのものではありませんでした。品目ごとに、利用者が知りたい順に答えを置いたこと。その土台になる判断が、いくつか積み重なっていました。
私の立場から振り返って、いちばん効いたと感じるのは、問い合わせ記録から始めたことです。検索語の道具から入っていたら、検索される量の多い言葉を追いかけて、自社では受けていない仕事のページまで作っていたかもしれません。受けてきた相談を品目と方法の組み合わせで見直したからこそ、作るべきページと、そのページに書くべき質問が、最初からはっきりしていました。たとえばエアコンで「取り外しまで頼みたい」という相談が多いと分かっていたから、取り外しの作業費を料金の欄のいちばん上に書けたのです。
同じくらい大きかったのが、買取と料金の線引きを社内で言葉にしたことです。ページに料金を書くには、まず社内の基準が決まっていなければなりません。電話口の判断に頼っていた基準を文章にしたことで、利用者に見せられる情報が生まれ、同時に社員の間での説明のばらつきも減りました。
すでに持っていた安心の材料を、見える場所に出したことも効いています。古物商の許可と市の一般廃棄物収集運搬業の許可、依頼があった家にだけ伺う運用、日程の電話のほかにはかけないという約束。どれも新しく作ったものではなく、この会社が以前から守ってきたことです。けれど、書かれていなければ、利用者にとっては無いのと同じでした。
進めた順番にも、はっきりした意味がありました。記録の棚卸し、線引き、品目別ページ、導線という順で進めたことで、前の段階で決めたことが、次の段階の材料になっていきました。

もしフォームやページの見た目から手を付けていたら、書くべき料金も、選ばせるべき方法も決まらないまま、形だけが整っていたはずです。
品目別ページは、作ったら終わりではありません。リサイクル料金はメーカーの改定で変わり、取り扱う品目も季節や需要で入れ替わります。問い合わせ記録を定期的に見直し、ページの答えを相談の中身に合わせ続けることが、この仕組みを生かし続ける条件になります。
まとめ
リサイクル会社のサイトに問い合わせが来ないとき、原因は会社の知名度よりも、品目名で探す利用者とサイトの言葉がずれていることにあるのかもしれません。取扱品目を1ページに並べるだけでは、エアコンや冷蔵庫の処分を調べている人に、料金も流れも安心の材料も届きません。
このリサイクル会社では、問い合わせ記録から品目と引き取り方法の組み合わせを洗い出し、買取と料金の線引きを社内で決めてから、品目別ページを作りました。各ページには、リサイクル料金と運搬料の示し方、持ち込みと出張の流れ、リユースとリサイクルの違い、会社の所在と許可を、利用者が知りたい順に載せています。フォームも品目を選んだ状態から始まるように変え、ページどうしを一緒に頼まれやすい組み合わせでつなぎました。
まず手元の問い合わせ記録を開いて、相談の多い品目を一つ選んでみてください。その品目の料金と流れを一枚にまとめることが、最初の品目別ページになります。










